N0.3
(&ルクセンブルク)




運河クル−ズ
市庁舎の左横から建物の中を通り抜けできるようになっている。ここを抜けると、すぐに運河に突き当たり橋に出る。この石橋の上から眺める運河の風景はとても旅人の心を和らげてくれるもので、この町に落ち着きと潤いをもたらしている。運河の水は澄んだきれいなものではないが、いずこもこんなものだろう。この橋のたもとに運河クル−ズのボ−ト乗り場があり、すでに観光客が乗船待ちで並んでいる。よし、私も乗ることにしよう。
 






橋の上から眺めた運河風景









橋のたもとにある小屋でチケット(5.20ユ−ロ=730円)を購入し、乗船待ちの行列に加わる。やがて戻って来たボ−トに乗ってクル−ズが始まる。ボ−トの両側と真ん中の3列になって20人程度が乗船できる。船首にキャプテンが座り、運転しながら案内を勤める。乗客の出身国に応じて、数ヶ国語で説明してくれる。狭い水路を何隻ものボ−トが往来するので、その離合には注意が要るし、また低い橋桁の下を通り抜けたり、直角のコ−ナ−を曲がったりなど、その操船にはかなりの熟練と技術を要するようだ。このコ−スの中に4ヶ所ほどボ−ト乗り場があり、それぞれ運行業者が違うようだ。
 

この頃になると、暗く垂れ込めていた空も明るくなり、雨の心配もなくなって安心しながらボ−ト観光ができる。傘差しての運河めぐりでは、景色もよく見られないし、様にならない。ボ−トは、両岸に立ち並ぶ中世時代の特徴ある建物が静かに影を落とす水面を往復半時間かけてほどよいスピ−ドでコ−スをめぐる。レンガ造りの古そうな建物があるかと思えば、ギザギザ刻みの切妻屋根が並んでいたり、また古い石橋の向こうに教会の尖塔が見えたりなど、なかなか興趣をそそる風景が続いている。
 





クルーズ船上からの眺め上の写真はこの橋から撮っ た。














教会の尖塔がにょっきり








 





船長のガイドぶり















古い石橋と切妻屋根の風景が素敵















中世の香りがぷんぷん









そしてコ−スの末端近くまで来ると、緑の木々が両岸に生い茂る中を通り抜け、白鳥の遊ぶ美しい公園に出る。ここでボ−トはUタ−ンし、同じコ−スを戻り始める。






緑に包まれてほっとする風景















白鳥が戯れるのどかな風景









出発点まで来たので終わりかと思っていると、そこを通過してさらに奥の方へ進んで行く。まだこの先があったのだ。カギ型になったコ−ナ−を上手に操船しながら、ボ−トはなおも先へ進んで行く。やがて行き止りとなってボ−トはUタ−ンし、出発点に戻り始める。コ−スも終わりごろになって、鐘楼の見える素敵な光景が目に飛び込んでくる。この景色は運河からしか見られないブル−ジュらしい風景である。
 





運河から眺めた鐘楼の珍しい風景









こうして、30分ののどかな運河めぐりは終わりを告げる。この運河観光は、この町の大きな観光目玉の一つかもしれない。行き交うどのボ−トも観光客で満員で、その上各ボ−ト乗り場には乗船待ちのお客が行列をつくっている。朝、広場に来たころは人出も少なかったのに、このころになると、どこも観光客で賑わい始めている。なかなか人気のある町である。もし、この町に来て運河クル−ズを見逃して帰ったら、恐らく大事な物を置き忘れた感じがするのではなかろうか。


ム−ル貝のワイン蒸しで昼食
陸に上がると、昼食にしようと適当なレストランを物色する。この辺りにはレストランが軒を連ね、テラスで多くのお客がそれぞれの料理を楽しんでいる。運河のほとりに上品なレストランを見つけ、そこに入って室内に席を取る。メニュ−を持ってきたウェイタ−に「Est-ce que vous avez moules au vin blanc ? (ム−ル貝の白ワイン蒸しができますか?)」と尋ねると、「ウィ ウィ」という返事 。そこで、このム−ル貝とサラダ、それにビ−ルを注文する。
 

先に出されたビ−ルで喉を潤していると、深い鍋に盛られた熱々のム−ル貝が運ばれてくる。生まれて初めて味わうム−ル貝、いったいどんな味がするのだろう? この黒々とした艶のある扇型の貝は、どこでどのようにして生息しているのか知る由もないが、この国の名物料理としてつとに有名である。
 

早速、手掴みで貝を取り出し、フォ−クで身を取り出しながら味わう。一口食べてみると、そんなに変哲のある味ではなく、ごく普通の貝の味である。どちらかと言うと、私の好みではむしろアサリ貝の方がコクがあっておいしそうだ。こんなことを言うと、その道のツウには叱られそうだが、それが正直な感想である。たまに、ザリッとした砂ざわりがするところをみると、この貝は砂地に生息しているのだろう。
 




名物・ムール貝の白ワイン蒸 し
底の深い鍋にムール貝がいっぱい。左はサラダ。







貝殻が大きい割りには身が小さいので食べごたえがなさそうだが、意外と鍋底が深く食べても食べても底から貝が出てくる感じで、結構な分量になる。これと一緒に飲むビ−ルの味は、また格別のものである。それにしても、少し腹応えがないので、フライドポテトを追加注文する。これとサラダでお腹は満腹となり、いい雰囲気のレストランとあいまって満ち足りた気持ちにひたる。昼食代は締めて15ユ−ロ(2,100円)。


ベギン会修道院
お腹が落ち着いたところで、次は世界遺産にも認定されている修道院へ行ってみよう。ここはこの位置から少し南に離れた所にあり、徒歩では少々時間がかかりそうだ。こんな時、自転車だと颯爽と身軽に走られるのでありがたい。運河沿いに進んで行くと、ちょうど今、テントを張ってアンティ−ク市が開かれており、人出で賑わっている。自転車を止めてひとわたり眺めてみるが、無粋な私の興味を惹く物は見当たらない。
 

先ほどボ−トでめぐった運河のコ−スを今度は陸地から眺めながら、ゆっくりと自転車を走らせる。静かに水をたたえた運河の風景は、どこから眺めても絵になりそうだ。間もなくすると通りにぶっつかり、これを左に曲がって進んで行く。ここで一度地図を確認し、さらに通りを進んで行く。この辺りはほとんど人通りもなく、ひっそりとしている。
 

すでに目指す修道院の至近距離に来ていそうなのだが、そこへ通じる道の入り口が分からない。そこで、たまたま通りがかった地元の婦人にガイドブックの写真を見せながら尋ねると、「あゝ、ベギンホフですね。それでしたら、少し戻ってあの角を曲がるといいですよ。」と上手な英語で教えてくれる。行き過ぎてしまっていたのだ。そこでトンボ返りして元来た道を走って行くと、左へ曲がる路地に出る。これを少し進んで行くと、グリ−ンの芝生の中に立ち並ぶ木立の向こうにひっそりとたたずむ白壁の修道院が見えてくる。近くまで行くと、この中に人がいるのだろうかと思うほど、静まり返っている。
 

何の木かは知らないが、高い木立が柔らかな緑の芝生の中にまばらに立ち並んで静かな緑陰をつくり出し、それが何ともいえない独特の雰囲気を醸し出している。また、この緑の林と建物の白壁やレンガ色の屋根が素敵なコントラストを描き出し、絵になる風景を見せている。 




 木立の中に静かに横たわる修道院の全景。ここに立つと心が洗われるよう。




この修道院は1245年にフランドル伯夫人によって設立されたもので、ベネディクト派の修道女たちが昔のままの修道服を身にまといながら静かに信仰の生活を送っているという。この庭園の一角に礼拝堂があり、中に入るとこぢんまりとした簡素な祭壇が設けられている。ここまで響き渡るカリヨンの音を聞きながら、この静かで心なごむ雰囲気にしばし身をひたす。






 礼拝堂の内部











本場のワッフルの味
ベルギ−に来たからには、本場のワッフルの味を味わってみたい。そう思いながら再びマルクト広場に戻り、一軒のカフェに立ち寄る。「ワッフルはありますか?」と尋ねると、メニュ−を見せてくれる。その中からバナナとチョコがトッピングされた物を選び、飲み物にカプチ−ノを注文する。
 

出されたワッフルは写真のような品で、長四角のワッフルの上にバナナを輪切りにして載せ、それに生チョコを小カップに入れて添えてある。これをワッフルの上に流しかけていただく。このとろみのあるチョコが、ふんわり、あっさりとしたワッフルによくマッチして、なかなかおいしいものである。このワッフルというお菓子は、田舎に住んでいる私にはなかなか口にする機会がなく、ただ名前を知っているぐらいである。この機会に、しっかりとその味を覚えておこう。値段はワッフルとコ−ヒ−代で7ユ−ロ(1,000円)。





 
これがワッフル
上にはバナナ
右のカップが生チョコ








366段の鐘楼

おいしいワッフルのおやつで一休みした後、今度は目の前の鐘楼に上ってみたい。高さ88mの鐘楼は13〜15世紀に建てられたもので、この町のシンボル的存在になっている。この塔には47個の鐘が組まれたカリヨン(組み鐘)があり、それが15分ごとにその折り紙付きの甲高い音色をブル−ジュの町いっぱいに響かせている。それがどんな仕組みになっているのか興味がわいてくる。
 

中に入るとチケット売り場があり、そこで念のため「階段は何段あるんですか?」と尋ねると、間髪を入れず「366段です。」という返事が返ってくる。それを聞いて一瞬ひるむが、その昔、ケルン(ドイツ)の大聖堂の尖塔に上る509段の螺旋階段(その時の様子はドイツ編・ケルンをご覧ください。)を上りあがった体験を思い出し、その6割少々の階段数だからなんとかなるだろうと意を決して上ることにする。そこでシニア料金のチケット代3ユ−ロ(420円)を支払って上り始める。
 

狭く薄暗い石造りの螺旋階段を1段1段踏み締めながら上って行く。よく見ると、石段の中央部分がかなりすり減っている。これほどのすり減り方をみると、相当な人数が上下した歴史がうかがえる。この鐘楼が造られた中世以来、5世紀以上にわたって、どれほど多くの人々が上り下りしたのだろう。そんな思いに駆られながら、私もその石段に歴史を刻みつつ上って行く。途中で、下りの人たちと狭い石段で離合しながら、さらに上り続ける。
 

上に行くに従って螺旋階段は狭くなり、離合も難しくなる。すると、ようやくカリヨンの機械が設置されている狭いフロアに到達する。やれやれである。この入口の所には係のおじさんがいて、モニタ−テレビを見ながら上り下りの交通整理をしている。これから上は狭いため、離合して通れないからである。どれくらいの時間、この整理をするのか知らないが、この狭い空間では大変だろう。
 

カリヨンの心臓部である装置を見ると、その仕組みは巨大なオルゴ−ルと思えば間違いない。金属製の大きな回転盤にメロディに合わせた突起が何ヶ所にも付いており、それが何本も用意されたワイヤ−を引っかけて上部に吊るされた組み鐘に作動し、それを打ち鳴らす仕組みになっている。これが15分間隔で自動的に電気スイッチが入り、回転盤が回って打ち鳴らすわけだ。これで合点がいく。
 





巨大な回転盤
メロディを刻んだ突起が 見える














何本ものワイヤーが上の鐘に連動している








この装置のあるフロアからさらに上部に上がる。ここへの階段は狭くて、人一人しか通れない。そこで上部の見物客が下りるのを待って上ることになる。数十段上ると、そこが展望台で頂上となる。この天井には大きな横木が何本も渡され、これに大小幾つもの鐘が吊るされている。これに下の装置からワイヤ−で連動され、それぞれの鐘を打ち鳴らしてメロディを響かせるのだ。写真を撮りながら待っていると、突然迫力のある鐘の音が鳴り始める。しかし、この鐘の音が毎日毎時間15分置きに鳴り響くとなれば、観光客には良いとしても、付近の住民には耳うるさいものではなかろうか?
 





大小47個の鐘がぶら下がる。









中・小型の鐘はその内側にぶら下がった重りで鳴らすのだが、大型の鐘は外側から大きなハンマ−を動かして叩くようになっている。ここでカリヨンコンサ−トに出会えば、演奏者の姿も見られるし、迫力のある音響も聞けることだろう。しかし、惜しいことに、コンサ−トは先ほど終わったばかりなのだ。
 

この展望台からの眺めは素晴らしく、眼下には鮮やかな角度のあるレンガ色の屋根屋根がオトギの国のような世界を繰り広げている。ヨ−ロッパのどの町でも見かけられる素敵な風景である。やはり、苦労して上って来ただけのことはある。惜しいかな、金網が張り巡らされているので、思うように写真が撮れない。各方向、1枚ずつの写真を撮る。ひとしきり見物が終わると、今度は階下で待っている人たちと交替だ。下りるのは早く、螺旋階段に目を回しながら一気に地上に下り立つ。






 狭い展望台















展望台から市街を眺める
















ひときわ目立つ教会の尖塔














左下にブルグ広場と市庁舎が見える










帰 途 へ

もう一度ブルグ広場に戻ってみると、片隅でアイスクリ−ムを売っている。これには目がない私のこと、早速好物のバニラを買って木陰のベンチで憩いながら舌鼓を打つ。366段を上った後の一服にはもって来いだ。
 

ここで一息付くと、ぼつぼつ帰り支度である。元来た道を探しながら、駅へ向かって自転車を走らせる。駅近くの公園に来ると、自転車専用道路も設けられていて快適なのだが、駅の方へ横切るクロッシングが見当たらない。とうとう探しあぐねて通行人に尋ねると、少し戻って地下道を通るのだと教えてくれる。道理で分からないはずだ。
 

教えられた通りに戻り、地下道を通り抜けて上がると、前方にブル−ジュの駅が見える。やれやれ、これで無事到着だ。自転車管理所に自転車を戻すと、デポジット返還の書類をもらい、駅の窓口に持参して20ユ−ロを払い戻してもらう。これで手続きは無事終了。17時59分発のMidi駅(南駅)行きに乗って一路ブリュッセルへ。

(注意:駅の時刻表を見る時に注意が必要なのはMidiのことをZuidと書かれていること。これはMidi(南駅)のオランダ語読みなので間違わないように……。) 

 
Midi駅到着は7時前で時間的には夕暮れ時だが、外はまだ真っ昼間の感じである。とにかく、今夕の食事を確保しないといけない。今夜は外食ではなく、適当な物を見つくろって部屋に持ち帰り、ゆっくり食事したい。そんな思いで駅構内のファ−ストフ−ド店を何軒か物色して回るうち、1軒の店で珍しくもサンドイッチ類の他にヤキソバを売っているのを発見。これ幸いにこれをパックに詰めてもらい、他にご飯にカレ−風のトッピングを載せてもらって持ち帰る。もちろん、大事な缶ビ−ル1本も忘れないように買って帰る。これで立派な夕食の準備が整う。
 

ホテルの部屋に入ると、早速開いて夕食だ。こんな時、駅前のホテルだと便利で有り難い。ヤキソバはなかなかの味で、具が少ないことを除けば、日本のそれと比べても遜色がない。ご飯はパサパサで粘り気がなく、芯が残る感じだが、良しとしよう。ここは日本と違うのだ。ビ−ルとヤキソバにご飯でお腹は満腹となり、満ち足りた夕食は終わる。
 

食後の一休みをすると、あとはシャワ−を浴びて寝るばかりだ。おっと、その前に下着の洗濯をしておこう。明日はホテルの移動日で、昨日探したグラン・プラス近くのホテルに移る予定だ。そのこともあり、明日は遠出をせずにブリュッセル市内の観光に当てることにしよう。



(次ページは「ブリュッセル市内観光編」です。)