運河クル−ズ
市庁舎の左横から建物の中を通り抜けできるようになっている。ここを抜けると、すぐに運河に突き当たり橋に出る。この石橋の上から眺める運河の風景はとても旅人の心を和らげてくれるもので、この町に落ち着きと潤いをもたらしている。運河の水は澄んだきれいなものではないが、いずこもこんなものだろう。この橋のたもとに運河クル−ズのボ−ト乗り場があり、すでに観光客が乗船待ちで並んでいる。よし、私も乗ることにしよう。

橋の上から眺めた運河風景
橋のたもとにある小屋でチケット(5.20ユ−ロ=730円)を購入し、乗船待ちの行列に加わる。やがて戻って来たボ−トに乗ってクル−ズが始まる。ボ−トの両側と真ん中の3列になって20人程度が乗船できる。船首にキャプテンが座り、運転しながら案内を勤める。乗客の出身国に応じて、数ヶ国語で説明してくれる。狭い水路を何隻ものボ−トが往来するので、その離合には注意が要るし、また低い橋桁の下を通り抜けたり、直角のコ−ナ−を曲がったりなど、その操船にはかなりの熟練と技術を要するようだ。このコ−スの中に4ヶ所ほどボ−ト乗り場があり、それぞれ運行業者が違うようだ。
この頃になると、暗く垂れ込めていた空も明るくなり、雨の心配もなくなって安心しながらボ−ト観光ができる。傘差しての運河めぐりでは、景色もよく見られないし、様にならない。ボ−トは、両岸に立ち並ぶ中世時代の特徴ある建物が静かに影を落とす水面を往復半時間かけてほどよいスピ−ドでコ−スをめぐる。レンガ造りの古そうな建物があるかと思えば、ギザギザ刻みの切妻屋根が並んでいたり、また古い石橋の向こうに教会の尖塔が見えたりなど、なかなか興趣をそそる風景が続いている。

クルーズ船上からの眺め上の写真はこの橋から撮っ た。

教会の尖塔がにょっきり

船長のガイドぶり

古い石橋と切妻屋根の風景が素敵
中世の香りがぷんぷん
そしてコ−スの末端近くまで来ると、緑の木々が両岸に生い茂る中を通り抜け、白鳥の遊ぶ美しい公園に出る。ここでボ−トはUタ−ンし、同じコ−スを戻り始める。

緑に包まれてほっとする風景
白鳥が戯れるのどかな風景
出発点まで来たので終わりかと思っていると、そこを通過してさらに奥の方へ進んで行く。まだこの先があったのだ。カギ型になったコ−ナ−を上手に操船しながら、ボ−トはなおも先へ進んで行く。やがて行き止りとなってボ−トはUタ−ンし、出発点に戻り始める。コ−スも終わりごろになって、鐘楼の見える素敵な光景が目に飛び込んでくる。この景色は運河からしか見られないブル−ジュらしい風景である。

運河から眺めた鐘楼の珍しい風景
こうして、30分ののどかな運河めぐりは終わりを告げる。この運河観光は、この町の大きな観光目玉の一つかもしれない。行き交うどのボ−トも観光客で満員で、その上各ボ−ト乗り場には乗船待ちのお客が行列をつくっている。朝、広場に来たころは人出も少なかったのに、このころになると、どこも観光客で賑わい始めている。なかなか人気のある町である。もし、この町に来て運河クル−ズを見逃して帰ったら、恐らく大事な物を置き忘れた感じがするのではなかろうか。
ム−ル貝のワイン蒸しで昼食
陸に上がると、昼食にしようと適当なレストランを物色する。この辺りにはレストランが軒を連ね、テラスで多くのお客がそれぞれの料理を楽しんでいる。運河のほとりに上品なレストランを見つけ、そこに入って室内に席を取る。メニュ−を持ってきたウェイタ−に「Est-ce
que vous avez moules au vin blanc ?
(ム−ル貝の白ワイン蒸しができますか?)」と尋ねると、「ウィ
ウィ」という返事 。そこで、このム−ル貝とサラダ、それにビ−ルを注文する。
先に出されたビ−ルで喉を潤していると、深い鍋に盛られた熱々のム−ル貝が運ばれてくる。生まれて初めて味わうム−ル貝、いったいどんな味がするのだろう? この黒々とした艶のある扇型の貝は、どこでどのようにして生息しているのか知る由もないが、この国の名物料理としてつとに有名である。
早速、手掴みで貝を取り出し、フォ−クで身を取り出しながら味わう。一口食べてみると、そんなに変哲のある味ではなく、ごく普通の貝の味である。どちらかと言うと、私の好みではむしろアサリ貝の方がコクがあっておいしそうだ。こんなことを言うと、その道のツウには叱られそうだが、それが正直な感想である。たまに、ザリッとした砂ざわりがするところをみると、この貝は砂地に生息しているのだろう。

名物・ムール貝の白ワイン蒸 し
底の深い鍋にムール貝がいっぱい。左はサラダ。
貝殻が大きい割りには身が小さいので食べごたえがなさそうだが、意外と鍋底が深く食べても食べても底から貝が出てくる感じで、結構な分量になる。これと一緒に飲むビ−ルの味は、また格別のものである。それにしても、少し腹応えがないので、フライドポテトを追加注文する。これとサラダでお腹は満腹となり、いい雰囲気のレストランとあいまって満ち足りた気持ちにひたる。昼食代は締めて15ユ−ロ(2,100円)。
ベギン会修道院
お腹が落ち着いたところで、次は世界遺産にも認定されている修道院へ行ってみよう。ここはこの位置から少し南に離れた所にあり、徒歩では少々時間がかかりそうだ。こんな時、自転車だと颯爽と身軽に走られるのでありがたい。運河沿いに進んで行くと、ちょうど今、テントを張ってアンティ−ク市が開かれており、人出で賑わっている。自転車を止めてひとわたり眺めてみるが、無粋な私の興味を惹く物は見当たらない。
先ほどボ−トでめぐった運河のコ−スを今度は陸地から眺めながら、ゆっくりと自転車を走らせる。静かに水をたたえた運河の風景は、どこから眺めても絵になりそうだ。間もなくすると通りにぶっつかり、これを左に曲がって進んで行く。ここで一度地図を確認し、さらに通りを進んで行く。この辺りはほとんど人通りもなく、ひっそりとしている。
すでに目指す修道院の至近距離に来ていそうなのだが、そこへ通じる道の入り口が分からない。そこで、たまたま通りがかった地元の婦人にガイドブックの写真を見せながら尋ねると、「あゝ、ベギンホフですね。それでしたら、少し戻ってあの角を曲がるといいですよ。」と上手な英語で教えてくれる。行き過ぎてしまっていたのだ。そこでトンボ返りして元来た道を走って行くと、左へ曲がる路地に出る。これを少し進んで行くと、グリ−ンの芝生の中に立ち並ぶ木立の向こうにひっそりとたたずむ白壁の修道院が見えてくる。近くまで行くと、この中に人がいるのだろうかと思うほど、静まり返っている。
何の木かは知らないが、高い木立が柔らかな緑の芝生の中にまばらに立ち並んで静かな緑陰をつくり出し、それが何ともいえない独特の雰囲気を醸し出している。また、この緑の林と建物の白壁やレンガ色の屋根が素敵なコントラストを描き出し、絵になる風景を見せている。 |
|