写真を中心にした簡略版はこちら→ 「地球の旅(ブログ版)」






  
(&グリーンランド)



6.コペンハ−ゲン市内散策

雨模様 
旅行6日目で最終日。今朝はオ−ロラチェックの心配もないし、ゆっくりと7時半に起床。まずは天候チェックをしようと窓辺に急ぐ。長いカ−テンを引き開けると、腰なしの大窓には横なぶりの雨が叩き付けている。それを見た瞬間、旅行気分がいっぺんに吹き飛んでしまう。これでは計画のサイクリングはとても無理だ。昨夜まで雨はなかったのに、今朝は細いしょぼ雨が降り続いており、それもかなりの風を伴っている。
 

最後の朝食へ
さ〜て、今日はどうしたものかと、起き抜けから思案投げ首となる。出かけるまでに、なんとか回復してくれたらいいのだが……。そんな願いを込めながら洗面を済ませ、身仕度を整えてまずは食堂へ赴く。デラックスホテルだけに、内部の雰囲気は最高。1階ラウンジの食堂に入ると、禁煙席を選んでテ−ブルにつく。飲物だけでもミルクにジュ−スにコ−ヒ−といただき、肉類、ポテト、玉子、サラダ、パンと盛りだくさんの料理を取り寄せる。そして、最後のデザ−トには各種フル−ツを盛り、その上オレンジ1個を剥いていただく。なんと豪華な朝食だろう。
 

コ−ヒ−をサ−ビスしてくれる若いウェイタ−がアジア人らしいので、話しかけてみる。
「あなたはアジアの方ですか?」
「えぇ、そうです。国はシンガポ−ルです。」
「シンガポ−ルは美しい街ですね。二度ほど訪れましたよ。ここの仕事に
 ついて、どのくらいになるんですか?」
「まだ来たばかりで、3週間になったところです。」
「何かの研修に来たんですか?」
「えぇ、IT関係の勉強に来たんです。この地の学校に通っています。」
「じゃ、ここの仕事はアルバイトなんですか?」
「えぇ、そうなんです。いろんな人に出会えて楽しいですよ。」
「どのくらいの期間、勉強するんですか?」
「1年間です。終わったら自国に戻って仕事につきます。」
「いい仕事に就けるといいですね。元気に過ごしてくださいね。」
「ありがとうございます。」
この食堂では、こうしたアジア系や黒人が数人働いている。それぞれに何か目的を持っているのかもしれない。なかなか頼もしいことである。
 

ゆっくり時間をかけて朝食を終わると、様子を見に玄関の外に出てみる。やはり、雨まじりの強い風が吹き続いている。ここは海岸に近いから、なおさらのこと風が強いのだろう。このまま止みそうにないので、残念ながらサイクリングの予定は変更し、徒歩で回らざるを得まい。そう心に決めると、部屋に戻って昨夜もらった市内地図を広げて調べ始める。
 

天気なら自転車でマ−メイド像まで足を伸ばし、その途中アマリエンポ−宮殿や王立公園などをめぐる予定だったが、予定を変更して中心街のストロイエ通りを散策してみることにしよう。フロントの話によると、ここは歩行者天国になっているという。そして、その中程から折れて入った所に円筒タワ−があり、そこから市街が見下ろせるという。そこを訪ねてみることにしよう。
 

雨の市内散策
早く出かけ過ぎても通りの店も開店していないだろうから、部屋で一息ついてから出かけることにする。9時半過ぎになっても相変わらず雨は降り続いて止みそうにない。そこで傘とカメラを別に用意して、そろそろ出かけることにする。まずはフロントでチェックアウトを済ませると、バッグを預けて目の前の空港へ向かう。ほんとに便利この上なしだ。
 

通い慣れた陸橋フロアを渡って空港のロビ−に出ると、まずは帰路便のチェックインを早々と済ませる。こうしておけば、出発ぎりぎりまでゆっくりと過ごせるわけだ。次いで中央駅までの往復切符(51クロ−ネ=1,020円)を購入し、地下の2番ホ−ムから列車に乗り込む。10分の短時間で中央駅に到着すると、傘をさしてチボリ公園方向の出口から歩き始める。ここから4日前の到着の夜に歩いたアンデルセン大通りに出る。ここで昼間の風景を写真に収める。雨の中、傘をさしながらの撮影は難儀この上ない。
 

雨のアンデルセン大通り。カマボコ型の屋根はチボリ公園。

ここからストロイエ通りに向かうと、その右手にレンガ造りの市庁舎が見える。人気のない前の広場が静かに雨に濡れている。


重厚な市庁舎の建物

街のいちばんの中心街であるストロイエ通りに入ると、商店も開店早々とあって、まだ人影はまばらである。奇妙なことに、この冷たいしょぼ降る雨の中を、みんな申し合わせたように傘もささないで平気で濡れながら歩いている。この街では、傘をさすのは少数派のようだ。少々の雨でも傘をささないのが、この街の習慣なのかもしれない。
 

一番の繁華街ストロイエ通り。

おみやげ
このストロイエ通りに続いてニュ−通り、オスタ通りなどが街の中心部を貫くように走っており、これらの通りが車の通らない歩行者天国になっている。ストロイエ通りを歩いていると、一軒の土産品店が目に留まる。中に入って物色してみると、マ−メイドのクリスタル製品が目に留まる。この地の記念品がまだなかったので、これを求めることにしよう。


この店はアジア人らしい女性が一人で店番しているので、「アジアの方ですか?」と尋ねてみると、台湾出身だという。現地人と結婚してこの街に住み、6年になるという。自分の店なのかと尋ねると、オ−ナ−ではなく、ただの店員だという。この街には結構アジア系の人たちが多い。
 

歩行者天国
ここを出てストロイエ通りを抜けると石畳の敷かれたカンメル広場に出る。その中心には母子の像があり、人気のない広場で冷たい雨に濡れながら静かに立っている。


母子像が立つカンメル広場

ここから続くニュ−通りをさらに奥の方へ進んで行く。途中、ひょっこり教会の尖塔が見えたりするのは、やはりヨ−ロッパの素敵な風景である。








 尖塔が見える通りの風景















円筒タワ−の場所を尋ねながら、さらにぶらぶら歩いて行く。道を尋ねると、みんな身体を乗り出すようにしながら親切に教えてくれる。好感の持てる街である。
 

しばらく歩いて行くと、再び四つ角の広場に出る。ここはホイブロ広場だ。ここには鶴の像や騎馬像が置かれ、ゆったりとしたスペ−スが広がっている。シ−ズンになれば人出も多くなるのだろうが、この極寒の季節では人影も少なく、冷たい雨にひっそりと静まり返っている。


ひっそりとしたホイブロ広場

教えられたル−トに従って、ここから左に道を折れ、横道に入って行く。この通りは一段と人通りは少ない。しばらく進んで行くが、なかなか塔が見え始めない。もう見えていいはずなのに……。そこで、再度タワ−の在処を尋ねると、この道で間違いないという。
 

ラウンドタワー
さらに進んで行くと、建物のかげに円形の低い塔らしきものが見えてくる。あれなのかな?塔にしてはちょっと低い感じがするのだが……。とにかく入口から入ってみると、係のお兄さんが入場券を売っている。そこで、上まで上れるのかと尋ねると、うなずいている。入場料が要るのかと尋ねると、「このタワ−は必要ですが、隣の教会は無料で自由に入れます。」という。この塔(英語ではTHE ROUND TOWERと書かれている)は教会にくっついて造られているのだ。よくある教会の塔というわけだ。
 






 由緒ある円筒タワー
 屋上には天文台のドームが・・・











螺旋の坂道
券を買って中に入ると、話に聞いたように螺旋状の坂道がぐるぐると巻き貝のように回りながら続いている。意外と幅のある廊下にはレンガが丁寧に敷きつめられており、それがいかにも年期が入った感じを受ける。ライトに照らされた坂道に沿って、息をはずませながら上って行く。
 

塔内にはレンガ敷きの螺旋廊下が続いている

塔上からの眺め
頂上に達して屋上に出ると、かなり強い風雨が吹きつけており、傘が吹き飛ばされそうである。傘を低くしっかりと握りしめながら、屋上からの風景を眺め下ろす。この円形の塔の屋上には鉄製のフェンスが設けられており、その周りには丹念に鋳造されたらしい飾りの欄干が取り付けられている。そんなフェンスを通して眺め回すと、眼下には雨にくすんだコペンの街が静かに広がっている。そう見えるのだが、実際はかなりの風を受けているのだろう。
 

レンガ色の建物が並ぶ風景は、まぎれもないヨ−ロッパの風情をただよわせている。飛ばされそうな傘をしっかり抱きながら、なんとかその風景写真を撮り収める。ほうほうのていで屋内に戻り、螺旋坂道を下り始める。途中、子供連れの親子と出会うぐらいで、入場者の姿はほとんど見られない。




塔の屋上から眺めたコペンハーゲンの市街




隣接の教会
外に出ると、右手に回って隣接の教会に入る。二重の扉を開いて中に入ると、天井の高いこぢんまりとした空間が広がっている。だが、歴史を感じさせる匂いがする。2人の参詣者を除いて、ここにも人気はなく、ほのかな灯に照らされた祭壇が心にしみる静寂の時間と安らぎを与えている。
 

塔に隣接するトリニティ教会

それを知ってか、後方の壁ぎわにある階段に1人の若い婦人が腰掛けて、静かに瞑想している。ちょっと悪いが、お邪魔して話しかけてみる。
「お祈りをしてるんですか?」
「えぇ、時々ここに来て、こうして座っているんです。ここで過ごしていると、と
 ても心が安らいで気持ちが落ち着くんですよ。」
とにっこり微笑みながら答えてくれる。
「この街にお住まいなんですか?」
「えぇ、この近くなんです。だから、ちょいちょい来られます。」
「では、幸せな時をお過ごしください。」
「ありがとうございます。」
こんな会話を交わして静かに退出する。ここだと、静寂の空間を独占できて、さぞかし思いの丈の祈りを捧げることができるに違いない。
 

ラウンドタワーのこと
もらった資料によると、このラウンドタワ−は1637年7月に定礎式があげられ、その建設には国王クリスチャン4世自ら率先し、ハンス・ステ−ンウィンクルが建築技師を務めたとある。この塔と教会は一体となっており、しかも塔の上には天文台が設けられるという珍しいトリニタティス・コンプレックス(複合建築物)となっている。この特徴的な建物は17世紀の学者に重要な3つの設備を集めることが図られている。その3つとは、天文台、学生のための教会、それに大学図書館である。
 

塔の高さは35m弱で、ヨ−ロッパでは珍しい螺旋状の坂道廊下は209mの長さがあり、塔を7回転半しながら屋上まで続いている。展望台を囲む鉄格子は、王室付き彫金師キャスパ−・フィンケが1647年に制作したものだそうで、何気なく見たあのフェンスもなかなかの由緒ものなのだ。屋上にある天文台のド−ムはヨ−ロッパでは最古のもので1861年までコペンハ−ゲン大学が使っていたという。現在では誰でも利用ができ、塔の望遠鏡で夜空の観察もできるそうだ。また、教会の天井上にある会館は大学図書館となっており、塔正面の壁面上部には、1642年の年号が入った金箔の碑文が刻まれている。
 

もらった日本語の資料を後で読んでみると、これがなかなか由緒のある教会と塔であることがわかり、外に出て改めて眺め直すことになる。外壁の上部を見上げると、鮮やかな王冠と金箔の大きな碑文が見える。レンガを巧みに積み上げて造られた円筒形の塔をもう一度仰ぎ見ながらここを後にする。
 

昼食は中華料理
ここからもと来た道をたどって中央駅へ向かう。雨の中、これから先へ進むのは遠すぎるし、そんなに時間もない。ここはそろそろ昼食の時間にしたが無難のようだ。となれば、来る時に目星をつけていた中華レストランへ行ってみよう。久々に麺類が食べたくなったのだ。そう思いながら歩行者天国へ戻り、その通りの2階にあるレストランへ入る。お客はまばらである。
 

出迎えた中国系のウェイトレスに、「カ−ド払いはできますか?」と尋ねると、「はい、できます。ただし、カ−ドだと手数料が少しかかりますが……。」との返事。クロ−ネの現金は持ち合わせがないので、それで了承する。テ−ブルに着いてメニュ−を見せてもらい、「ヌ−ドルス−プはありますか?」と尋ねると、何種類かの麺料理を示してくれる。そこで、「この中でどれがお勧め?」と尋ねると、「それぞれの好みがありますから……。」といって遠慮している。
 

仕方なく、それぞれの内容の説明を受けて、エビなどが入った小サイズの麺ドンブリを選ぶことに。すると、「これって、こんなに小さいのですが、それでもかまいませんか?」と念を押すように、両手で小さな輪をつくりながら示している。これでは話にならないと、すぐさま変更して大を注文する。
 

やがて運ばれて来たのは、私の想像とほぼ同様の内容のもので、ほっと安心する。この地でも、こんな麺料理ができるのだ。中身は豚肉、牛肉、エビなどに野菜類が入っている、いわゆるチャンポンなのである。長崎人の私には懐かしい思いで箸をつける。ス−プは長崎チャンポンのようにコクはないが、まあまあの味をしている。麺も少し違うが、文句は言えまい。分量も昼食には十分で、久々のアジア料理にお腹も満足の声をあげる。
 

チャンポン風ヌードル

料金は72クロ−ネ(1,440円)、これに手数料を加えて合計76.14クロ−ネ(1,522円)。なんと高いことだ。長崎チャンポンの相場は1杯700円だから、その2倍はする。北欧の物価は、概してこんなところである。
 

中央駅へ
とにかくお腹を満たしたところで、中央駅へ向かう。すでに午後の1時を過ぎているので、これから空港へ向かえば、頃合の時間になる。3時過ぎの出発だから慌てることはない。


雨に濡れた大通りの風景

駅に着くと、見慣れた5番ホ−ムから列車に乗り込む。と、それが偶然にも再びあの沈黙車両に乗り合わせてしまう。もう誰にも尋ねたりする用はないので、問題はない。静かに沈黙していると、10分で空港駅到着である。これでコペンの街の散策もすべて完了である。11年ぶりのサイクリングが果たせなかったのが残念だが、天候には勝てないので、あきらめるより仕方がない。
 

帰国の途
あとはホテルに戻って預けたバッグを受け取り、再度空港ロビ−へ出て荷物検査を受けると空港待合室で待機するばかりだ。問題なく検査を通過し、ゲ−トの待合室に腰を下ろす。乗客のほとんどは日本人客だ。この時期にも旅行客は結構多いようだ。私もそのうちの一人だが、それぞれどんな思いで帰国しているのだろう。私に負けないほどの素敵な思い出が残せたのだろうか?
 

そんなことを考えていると、搭乗案内のアナウンスが始まる。これで、私の旅もいよいよ終わりだ……。いや、まだまだ、これから12時間の長い空の旅が待っている。そう思いながら、オ−ロラの素敵な思い出がたっぷりと詰まったバッグを大事に抱えながら、ゆっくりと歩み始める。


  *****************************************************
           コペンハ−ゲン観光情報(2004年版)
                    (為替レート:DKK1=20円/05年1月現在)

・City Tour of Copenhagen
 開催期間:5月15日〜9月30日、毎日、6種類の言語あり
 出発時間:9:30、11:30、13:30
 所要時間1.5時間、料金DKK130

・Grand tour of Copenhagen
 王宮、衛兵交代、教会、議会、人魚像などコペンのハイライトをめぐる。
 開催期間:1月1日〜12月31日、毎日、
 出発時間:11:00、10月1日〜4月30日は土曜のみで13:30
 所要時間2.5時間、料金DKK195

・Open Top Tours
 二階がオ−プンになっている乗り降り自由の巡回観光バス
 (詳しくはwww.sightseeing.dkのサイトで確認ください)
 次の4コ−スがある。
 *Blue Line……料金Dkk120
 *Red  Line……料金Dkk120
 *Yellow Line……料金Dkk120
 *All Lines……料金Dkk140
 *Blue Line……料金Dkk120
 *Green Line……All Linesのチケットのみ可

・Walking Tour
 開催期間:7月1日〜8月31日の火、木、日曜日
 出発時間:午後2時
 所要時間1.5時間、料金DKK70

・City & Harbour Tour
 市内の観光ポイントと運河などをめぐる。
 開催期間:5月15日〜9月30日、毎日、
 出発時間:9:30、11:30、13:30
 所要時間2.5時間、料金DKK175

・Andersen tour
 有名なデンマ−クの作家アンデルセンの故郷の美しい島を訪れる1日
 ツア−。
 開催期間:6月15日〜9月15日の木、日曜日
 出発時間:8時
 所要時間:8時間、料金DKK475
  *****************************************************

                                  (完)  
                       (05年2月18日脱稿)