N0.12





聖ジャイルズ大聖堂(St. Giles' Cathedral )
聖ジャイルズ大聖堂は王冠を頂いたような高い塔をもち、正面の広場には立像が置かれ、後方の入口屋根にも小さな立像がある。内部は採光が悪くて薄暗く、わずかにキリストなどの絵が細かく描かれた美しいステンドガラスの窓からの光がもれてくるのみ。その中央奥には祭壇が置かれ、静寂と荘厳な雰囲気が流れている。この教会のもともとの建物は、すでに9世紀の昔には存在していたそうだが、現在の建物は14〜15世紀にかけて建てられたものだという。


荘重さがただよう聖ジャイルズ大聖堂









 中央祭壇

















キリストの絵が描かれた美しいステンドガラス


窓にはすべてこのようなステンドガラスが・・・

ホリルード公園〜宮殿を経てカールトン・ヒルへ
ここからお城の方へ引き返して観光バスの停留所に戻る。しばらく待って乗車すると、バスは大聖堂の手前の交差点から南に入り、その地域をぐるりと回りながら再びロイヤル・マイルの通りに出る。そしてしばらく走ると再度南へそれて進み、ホリルード公園へ向かう。この公園の一角には異様に目立つテント張りのような白い建物がある。これがダイナミック・アースと呼ばれるアトラクション施設で、タイムマシーンに乗って45億年前の地球誕生に立ち会うことができるのだそうだ。


ダイナミック・アースの建物。背後の丘はアーサーズ・シート。


この辺り一帯はホリルード公園になっている。右手の山はアーサーズ・シート。

そして、この建物の背後に見える小高いヒル(253m)がアーサーズ・シート(Arthur's Seat)と呼ばれる古い火山の一部分だそうで、ここからの眺望はなかなかの絶景だそうだ。残念ながらここは素通りし、車窓からの眺めだけにする。このヒルの麓一帯がホリルード公園になっており、ここのQueens Driveを北に少し走り進むとホリルードハウス宮殿(Palace of Holyroodhouse)に至る。前述したように、生憎とロイヤルファミリーが滞在中とのことで宮殿の見学はできない。ということで、ここも車上からちらりと様子を垣間見るだけで素通りとする。  


ホリルードハウス宮殿が見える


同 上

カールトン・ヒル(Calton Hill)
バスはRegent Roadに出るとウェーバリー駅の方向に進んで行く。その手前にカールトン・ヒルがあるのでここで下車し、最後の観光にしたい。そこで、ドライバーにその旨を告げ、最寄りのストップで降りたいから知らせてくれと頼む。間もなくバスはストップし、「ここで降りて、あの向こうの階段を上って行くといいですよ。」と教えてくれる。


礼を述べて下車すると、少し前方に歩いて右側に見える細い階段を上って行く。ここを上りあがればカールトン・ヒルに出る。ここはウェーバリー駅から通りに上って東に500mほどの距離にある小高い丘である。前述したように、この丘では毎年8月にエディンバラ・フェスティバルが行われる場所でもある。人影のない階段を一人上って行く。人の気配がないので、やや物騒な感じである。間もなくすると、やっと下りて来る人と出会う。


丘に上りあがると、その正面には17世紀初頭に建てられたというネルソン記念碑(海軍提督ネルソンのトラファルガーの戦いにおける勝利と死に敬意を表す記念碑)がにょっきりと現れる。それほど高くはない丘の頂上に出ると、そこから旧市街や新市街のパノラマ風景が眺望でき、また遠く北海まで見渡せる。左手遠くには岩山にそびえるエジンバラ城や大聖堂の尖塔などが眺められる。








 ネルソン記念碑の塔
 



 カールトン・ヒルより新市街を眺める。


 上の写真より右手に回った地点からの風景。同じく新市街方面。


 カールトン・ヒルよりの眺め。左手は旧市街で聖ジャイルズ大聖堂の塔やその右の丘ににエジンバラ城が見える。




この丘にはパルテノン神殿のなりそこないのようなモニュメントが建っている。National Monument というそうだが、これは予算不足で未完成のまま放置されているとか。その真偽のほどは分からないが、いずれにしても中途半端な記念物であることは間違いない。これが大空を背景に浮かび上がるシルエットは素敵なだけに惜しいことである。この丘はプリンセス通りから近いだけに、散策には格好の場所かもしれないが、夜の散歩は避けたが無難だろう。ここからの夜景は、また違った顔を見せてくれるのだろうが・・・。


左がNational Monument で、右はネルソン記念碑。 

雷雨に遭う
あちこちと移動しながら写真を撮っていると、急に雷鳴が轟き、大粒の雨がポツリポツリと落ち始める。今まで青空が見えていたのに沖合いに暗雲が垂れ込めている。この急変ぶりに驚いて、帰り支度を始める。やはり、アイルランドと同様、この地も気まぐれな天候らしい。それにしても今朝の天気予報はずばり当たっているぞ〜。感心する場合ではないが・・・。


丘を下り始めると、雨は本降りになり、傘を取り出して雨をしのぐ。出がけには雨に遭ったが、お城に入ってからは晴れ間ものぞき安心していたのだが、ここに来て再び雨の襲来である。なんとめまぐるしく、その都度、傘を広げたり、畳んだりと忙しいことである。


下車したバス停で観光バスを待つ。ウェーバリー駅までそれほど遠くはないのだが、この雨の中を歩くのはやっかいである。しばらく待ってバスに乗ると、発着点のウェーバリー・ブリッジに向かう。ここから直行するのかと思っていると、駅の近くから新市街の方へ曲がり、そこを迂回してプリンセス通りに出る。さらにそこを横切って、昨日見た美術館の前を通ってぐるっと回り込み、旧市街の方から下ってやっとウェーバリー・ブリッジに到着する。なんとも複雑なコースをたどるのである。


ところがである。到着間際になって雨は土砂降りに変わり、バケツをひっくり返したようなしの突く雨である。これでは身動きが取れないので、このまま車中に残って再度市内循環でもしながら雨の止むのを待とうかとも考えるが、とにかく下車してみることにする。急いでバス停の小屋根の下に駆け込み雨宿りする。みんなこの豪雨に立ちすくんで、通りを歩く人の姿は見られない。小止みになったら移動しようと思うが、なかなか雨脚は弱まらない。


ショッピングセンター
20分ほど待つと、やや雨脚も弱まり始めたので、道路を走り横切って目の前のショッピングセンターに駆け込む。そう、このウェーバリー駅には隣接して大きなショッピングセンターがあり、そこから駅へ通り抜けできるのである。とりあえずセンター内を見物し、片隅のベンチに腰掛けながら持参の水で喉を潤す。


鉄道チケットの購入
さて、これから駅に行って明日のチケットを買わなければいけない。最後の楽しみである湖水地方へ移動するのだが、その鉄道の玄関口・ウィンダミア駅までのチケットを購入したいのだ。そこで、ショッピングセンターから駅へ通り抜けて駅コンコースに出る。そこは歴史の趣のある雰囲気で、周囲には多くのショップが並び、中心部にもスナックのスタンドがある。


ウェーバリー駅のコンコース

目の前のホームには最新式の改札口が整然と並び、その上には電光掲示板が並んで発車時刻の案内を示している。そして、すぐ横のコンコースには長距離バスが入り込んで並んでいる。普通の駅では見かけない珍しい光景である。なんと驚いたことに、これらのバスはこの上部にあるあのウェーバリー・ブリッジから坂を下りおりて来るのである。この駅独特の地形のなせる事情なのだろう。


コンコースの一角に長距離バスが乗り込んでくる


このスロープを上りあがるとウェーバリー・ブリッジに出る



 ウェーバリー駅の改札口とホーム




チケット売り場のカウンターに行き、その有効期間を尋ねると2ヶ月間という。それなら大丈夫と早速、ウィンダミア駅往復チケット(£44=10340円)をカードで購入する。片道だと£35.50(8342円)だから、往復チケットがずいぶんとお得である。すべて座席指定で大きく横長のカードを渡される。このチケットは持ち運びに不便である。


英国鉄道のチケット。現物はこれの倍ほどのサイズ。上は往き、下段は帰路
のチケット。


雨上がりの風景
チケットの購入を済ませると、コンコースから坂道を上ってウェーバリー・ブリッジに出る。外はようやくあの土砂降り雨もあがり、空には青空が広がり始めている。ブリッジの上から眺める雨上がりの旧市街の建物やエジンバラ城が一段とくっきり見えるようだ。時計を見ると夕方の4時である。


駅コンコースからスロープを上りあがるとこのウェーバリー・ブリッジに出る。
ここが空港バスや観光バスの発着点。各種の観光バスが並んでいる。



ウェーバリー・ブリッジから眺めたエジンバラ城(中央の遠く丘の上)

夕食はイタリアン・レストランで
宿の方向へ足を進めながら夕食のことを考える。プリンセス通りを横切って交差点に出ると、そのコーナーにイタリアン・レストランを発見。そして、その看板に“You can eat as you like”と書いてあるのが目に留まる。スパゲッティの食べ放題とはうれしい。これは珍しいと、早速飛び込んで少し早めの夕食とする。


店内は割りと広くて感じのよいレストランである。直前までランチの割安コースだったとかで、これ以後はフルコースの割高料金になるという。その切り替えのために時間がかかるので、少々お待ちくださいという。のんびり待っていると、ようやく料理の準備ができたようである。


料理はバイキング方式で、トマトソースのスパゲッティを中心に、各種のサラダ類、肉・魚など多種類の料理が揃っている。それにフルーツや甘いケーキにプリンなどのデザート類も揃って予想外の豊富な品揃えである。これを一通り食べるのは到底無理のようだ。久々のスパに舌鼓を打ちつつ、バタフライのように移動しながら、あれこれと盛り付けていただく。


飲み物はハイネッケンのラベル広告が目に留まったので、その半パイントを注文する。ビールを傾けながら、たっぷりと食べ終わる。食べ放題とは言っても、私などの食べる分量はしれたもの。果たして私の採算は合うのだろうか? 料金は料理£10.50(2500円)、ビール£2.65(620円)で、そんなに安くはない。


のんきな物乞い
レストランを出て宿に向かっていると、通りの傍らに物乞いがへたり込んでいる。それが女性の物乞いで、こともあろうか居眠りこいでいる。なんとまあ、のんきな物乞いよ。これってそんなに気楽なのだろうか? どの国にもいるのが泥棒と物乞い。それは途上国も先進国も分け隔てなく平等である。生活のために彼らも必死なのだろう。


居眠りする物乞い

珍しい煙突の林立風景
クイーン・ストリートに通じる宿の前の通りまで来ると、年季の入った3階建てのアパート群が隙間なく見事に立ち並んでいる風景が見える。面白いのはその建物の屋根上で、そこには煙突が文字通り林立し、行儀よく並んでいるのである。恐らく暖炉の煙突なのだろうが、今は何の燃料を燃やしているのだろう? これらの煙突からどんな煙が出るのか、冬の様子を見てみたいものだ。この様子だと、煙突掃除屋の商売も結構繁盛するのかもしれない。


屋根上には煙突が行儀よく並ぶ


宿に到着
こんな風景を見上げながら、宿に着いたのは夕方5時半のことである。早速、洗濯を済ませ、シャワーを浴びてティーを入れる。今日は雨に降られたが、なんとかその合間をぬって観光を終えることができたので、まあ良しとしよう。アイルランドでも雨に遭い、この地でも雨に降り込まれるという具合に、これまでのところ雨にたたられた旅になっている。


果たして、明日から始まる期待の湖水地方ではどうなのだろう? いちばんの気がかりは天候なのだ。だって、雨で霧にでも包まれたら、折角の美しい湖水の風景も見れなくなってしまう。霧にはモハーの断崖でこり果てている。はてさて、明日からの旅はどうなることだろう? 晴れの女神に心こめて祈りながら、静かに眠るとしよう。



(次ページは「湖水地方観光」編です。)