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12.エジンバラ(3)

今日はエジンバラ移動の日で、今度の旅行の最終日。昨夜も早く寝たので、今朝も6時起床。昨夕の激しい雷雨もあがって、今朝は晴れ間がのぞいている。雨上がりのせいか、ウィンダミア湖の方角は霧が出ているようだ。


8時なって食堂へ行くと、ニュージーランドからやってきたという家族が4人で食事している。そこで、彼らと談笑しながら主人手作りの朝食を始める。彼らは夫婦と娘、それに母親を連れて旅行している。特に年配の母親が年齢の近い私に親近感を持ったのか、いろいろ尋ねながら談笑する。こうして朝の楽しいひとときを過ごす。


今日のエジンバラ行きは10時40分発の列車なのでゆっくりできる。自分の部屋でウィンダミア最後の朝のひとときを惜しみながらゆっくりと過ごす。冬の季節は冷え込むのだろうが、今の時季は最高のシーズンで湖水地方の醍醐味を満喫できる。まる3日間、快晴に恵まれ、その魅力にどっぷりとひたることができて心残りはない。美しく、穏やかな湖水地方の懐に抱かれながら過ごすことができた日々に心から感謝したい。


エジンバラへ
やおら少ない荷物をまとめると、宿の夫妻と別れを惜しみながら10時過ぎに宿を出る。駅まで5分の距離だから、すぐに着いてしまう。ここで隣接のスーパーに立ち寄り、昼食用に牛乳、パンなどを調達する。これで準備OKだ。


駅のホームに出ると日本人女性2人がベンチに座っている。そこで尋ねてみると、現在留学のためロンドン滞在中とのこと。その休日を利用して湖水地方の観光に来たのだという。一人は語学の研修、他の一人は建築関係の研修だという。二人とも申し合わせたように、費用ばかりかかって中身が伴わないと、ぼやいている。イギリス留学といってもそんなものなのかと首を傾げたくなる。高い費用をかけるからには、十分な事前調査が必要だ。


列車は定刻に発車し、往路と同じのどかな風景を窓外に見せながら走っていく。こうして本来の乗換駅オクスンホルム駅を通り過ぎ、34分かかってランカスター(Lancaster)駅に到着。ここで42分の待ち合わせである。割りと規模の大きな駅だが、乗降客は少なく、ひっそりとしている。その間に駅の外をぶらついてみる。駅前の通りには一見倉庫かと見まごうレンガ造りの建物がくっつき合って並んでおり、辺りには商店や人の気配もなくひっそりとしている。繁華街とはほど遠い感じである。その後は待合室で列車の到着をのんびり待つ。


ランカスター駅のホーム


ランカスター駅前は人影がない

12時前になってようやくやって来た列車に乗り込み、エジンバラへ向かう。車内は空いており、座席も1人占めでのんびりできる。ここから2時間20分の旅であるが、往路と同じ風景なので代わり映えはしない。窓外に流れる田園風景を眺めながら、やおらバッグからパンなどを取り出し、独り昼食を始める。


ホテルを取ったけど・・・
列車は予定より少し早い14時10分に懐かしのエジンバラ・ウェーバリー駅に到着。


ウェーバリー駅構内にはタクシーの列が・・・


ウェーバリー駅からウェーバリー・ブリッジに出る坂道

今宵の宿は駅を上りあがった通りのプリンセス・ストリートにある。今度の旅最後ということで、中クラスのホテルを予約している。ほどなく見つけてチェックイン。地理的には駅の至近距離で申し分ないが、建物が古臭く、エアコンの装備もない。低料金の部屋なので、窓からの眺望もない。いい部屋なら、エジンバラ城が見えるのだが・・・。


迷路のような廊下を上り下りして薄暗い部屋に入る。そこでシャワーでも浴び、一息入れると、近くのスーパーに出向く。そこで明日の朝食用にミルク(£0.33=78円)、クロワッサン(£0.50=118円)、バナナ1本(£0.14=33円)を仕入れ、これでよしと・・・。その足で通りをぶらついていると、バグパイプのおじさんがプリンセス通りの角で演奏している。スコットランドの本場なのに、これまでなかなかお目にかかれなかっただけに、感動の気持ちで眺め聞き入る。やはり、本場で聞く音色はまた格別のものだ。


プリンセス通りで奏でるバグパイプのおじさん

ついでに、プリンセス通り沿いの例のガーデンを散策し、夕暮れのひとときを過ごす。これでこの街も最後の見納めだ。丘にたたずむエジンバラ城を眺めやりながら、旅の思い出にふけり入る。たまたま当地に夏季研修留学に訪れている日本人青年2人と出会い、いろいろ談笑する。この街も結構日本人旅行者や留学生が多いようだ。その後はホテルへ戻ってしばし休息。


プリンセス通り沿いにある公園









 夕空にそびえるスコット記念碑



ガーデンから眺める夕暮れの風景。右側遠くの丘はエジンバラ城。




夕食は名物料理・ハギス
6時を回ったので旅の最後の夕食に出かける。ところで、スコットランド名物・ハギスをまだ口にしていないので、今夕はこの料理にしてみよう。いったいどんな味がするのだろう? そんなことを考えながら、先日訪れたパブに行き、ハギス料理ができるか尋ねてみる。すると、この店ではできないが、ここから1ブロック先の通りにある“スタンディング・オーダー”というパブでやっていると紹介してくれる。


パブを出てぶらぶら歩いて行くと、目指すパブが目に入る。入口には「THE  STANDING ORDER」と書かれた大きな看板が掲げられ、分かりやすくなっている。階段を上って中に入ると、パブというより広いビヤホールのような感じでなかなか感じがよい。カウンターには注文客が列をなし、係もその対応におおわらわである。


スタンディング・オーダーの入口


スタンディング・オーダーの広いホール


同 上

列に並んで料理を注文すると、まずその前に座席を決めてそのテーブル番号を伝えてくれという。そこで空いた席を探してテーブル番号を確認し、再び列に並んでハギス(£3.99=938円)とバドワイザービール半パイント(£1.25=294円)を注文する。席に戻って料理を待つが、お客が多いのでなかなか順番が来ない。かなりの時間待って、やっと運ばれて来たのが下の写真の料理である。


これがスコットランド名物・ハギス料理。真ん中がハギス。

このハギスはスコットランドの名物料理。これは羊の肉・内臓・血などをオート麦やたまねぎなどの野菜、香辛料と共に調理し、羊の胃袋に詰めてさらに加熱したソーセージ状のもの。こってりしたもので、スコッチ・ウィスキーによく合うという。賞味してみるが、何かプチプチとした歯ざわりがある。これが多分オート麦なのだろう。私の口に合うものではなさそうだ。ボリュームがあるので、なかなか食べおおせない。


皿の中央がハギスでその両脇にマッシュポテトと黄色の代物が盛り合わせてある。この黄色の代物を尋ねると“TURNIP”というのだそうだ。あまりおいしいものではない。どうがんばって食べてもお腹は膨れ、持て余してしまう。もったいないが少量を残して終了とする。旅行最後の晩餐にしては、いささか期待はずれの食事となる。


まだ明るい夜のプリンセス通りを歩きながら、ホテルへと向かう。部屋に戻ると、展望も何もきかない密室のような部屋で閉塞感を感じながら時を過ごす。あとはもう何もすることがない。ちょっぴり感傷にひたりながら、ベッドに横になる。午後10時のことである。


13.帰 国

今朝は5時半に起床。空は曇りである。今日は10時過ぎの飛行機でロンドンへ飛び、そこから成田へ向かう。このホテルは朝食付きではなく、別料金になっている。いずれにしても朝の出発が早いので食堂で取る間はない。そこで昨夕準備したクロワッサンとバナナ、それにミルクで朝食とする。


そそくさと身支度をして6時半ごろホテルを出る。ルームキーを返却しようとフロントに行くと、そこには人影がない。予約の時に支払いは済ませてあるので問題はない。仕方なくカウンターにキーを置いて1階に下りる。ところが外部へのドアはロックされていて出るに出られない。これは困ったとフロントに引き返そうとしていると、別室に休んでいたガードマンが出てきてドアを開けてくれる。このホテルは24時間体制ではないのだ。


すぐ目の前のウェーバリー・ブリッジに出ると、そこから7時前の空港バスに乗ってエジンバラ空港へ向かう。早朝のプリンセス通りはまだ人影も見えず、車も少ない。ダブルデッカーバスの2階に上ってエジンバラの早朝の風景に名残を惜しむ。朝ぼらけの空を背景にぽっかりと浮かぶエジンバラ城のシルエットがなんとも美しい。眼下に見える鉄道線路はまだ眠っているようだ。


早朝のプリンセス通り


遠く向こうの丘がエジンバラ城









 早暁の空にそびえるスコット記念碑















騎馬像とエジンバラ城(遠くの丘)

バスは25分でエジンバラ空港に到着。10時15分発の飛行機にしては、チェックイン時間が少し早過ぎるかなと思ったが、列に並んでみる。すると案の定、「あなたは早過ぎます。もうしばらくしてから来てください。」と断られる始末。仕方なく、ロビーで待つことにする。


エジンバラ空港の近郊


エジンバラ空港


エジンバラ空港出発ロビー


同 上

予定通り空港を飛び立った機は、1時間ちょっとでロンドン・ヒースロー空港に到着。そこで国際線へ乗り継ぎである。空港上空はどんよりとした空模様で、ぽつりぽつりと雨が落ち始めている。10分以上歩かされて、やっとインターナショナル・コネクションにたどり着く。そこでもセキュリティチェックが行われる。そこを通過すると、乗り継ぎカウンターでチェックイン。あとは出発ロビーへ行くばかりである。不思議なことに、ここでは出国審査は行われず、フリーパスである。“出る者は追わず”なのだろう。


エジンバラ空港を飛び立つ


ロンドン・ヒースロー空港へ近づく


同 上

出発まで約2時間ほどの待ち合わせがあるので、その間にサンドイッチとミルクで昼食を済ませる。ようやく搭乗の時間となり、あとは無事に飛行して成田到着を待つばかり。13日間の旅の思い出を乗せた機は、昼下がりのヒースロー空港を勢いよく飛び立った。最後尾の特等席?を独り占めしながら、眼下に見える風景をぼんやりと眺めやる。アイルランドよ、そしてイギリスよ、さようならである。                         (完)
                             (06年11月1日脱稿)









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