<2日目>

午前中はエルミタージュ美術館を見学。今回の旅行で一番楽しみにしていた場所だ。ウキウキしながらバスへ乗り込む。日曜日プラス朝のせいか人も車も少ない。車窓から見る町並みは非常に美しく、古い建物が多いため景観に統一性がある。建物の大きさのわりには電線が低く、標識が電線からぶらさがっていたりして面白い。


エルミタージュ美術館はネヴァ川に面しており、裏側には宮殿広場をはさんで旧参謀本部の建物がある。個人用入口はネヴァ川側、団体用入口は宮殿広場側に設置されている。午前9時40分頃到着したが、開館前のためたくさんの人が並んでいた。







エルミタージュ美術館
団体用入口












エルミタージュ美術館は、もともと宮殿であった建物をベースとして増築を重ね今の形となった。正確には冬の宮殿・新・旧エルミタージュ等の5つの建物から成り立っており、内部はかなり複雑で油断するとすぐに迷ってしまう。絵画作品だけでなく、実際に使われていた調度品や装飾品などがところせましと飾られており、収蔵されている作品を全部見るには数年はかかるそうだ。時間に限りがあったため、ほんの一部しか見ることができなかったが、近いうちにまた見に行きたい。


さて、エルミタージュ美術館のガイドブックを買うため、ミュージアムショップに立ち寄った。(もちろん日本語版アリ)よーく見てみると同じ本が、店によって値段が違う。美術館の外と内で値段が違うのは分かるが、同じ館内でこれはどういう訳だろう?(ちなみに私が15ドルで買った本は、別のところでそれぞれ16ドルと17ドルで売っていた。)


昼食は、「文学カフェ」でとった。詩人のプーシキンがこの店から決闘に出掛けたらしい。入るとプーシキンの人形が出迎えてくれ、ピアノやバイオリン、歌などが生で演奏されている。私たちの席からはステージが見えなかったが、歌を歌う人は席の方まで来てくれるので、なかなかサービス精神が旺盛だ。(でも申し訳ないが食事に集中できない・・・。)メニューは、パン・ボルシチ・鳥のカツレツ・デザート。


ロシアはアイスクリームがおいしいと聞いていたので、楽しみにしていたらデザートで出てきた。噂に違わず本当においしい。飲食店でなくとも少しにぎやかな通りであれば、アイスクリームの露店があちこちにあるので三回食べた。日本に比べて味は濃厚だがしつこくはない。値段は一つ4〜15ルーブルくらい。寒いのに、歩きながらアイスクリームを食べている人を多く見かけた。道でおじさんが数人、円になってアイスを食べていた光景はちょっと微笑ましかった。


朝から降ったりやんだりしていた雨が、本降りになってきた。が、私たちは傘を持ってきていなかった。親切にも同じツアーの人が貸してくれたので大助かり。今まで海外旅行で雨に降られたことが無かったので、過信していたのだ。


午後はネフスキー大通りの散策。





カザン寺院(ネフスキー大通り沿いにある)










とはいっても自由散策ではなく、添乗員さんとガイドさんに連れられての散策である。さすがサンクトで一番大きな通りなだけあって、たくさんの人でにぎわっている。ぼんやりしていたらすぐに迷子になりそうだ。


宝石店や、デパート、食料品売り場を見て回ったが、値段は日本とあまり変わらない。ガイドさんいわく、「ロシア人の平均月収は200〜300ドルなので、毎日一生懸命働かないとやっていけない」「海外のブランド店は、主にマフィアが買い物にくる」のだそうだ。


この日は夕食がついていないので、夕方の6時くらいから自由時間となった。オプションでエルミタージュ劇場へバレエ(演目は“ジゼル”)を観に行くこともできる。私たちは、マリインスキー劇場のバレエを観たかったのだが、10月から開演するということで、今回は諦めた。


ホテルのすぐ裏は、バルト海(フィンランド湾)で、水際まで行くことができる。







バルト海(ホテルの部屋より)














すぐとは言っても、ホテルの正面から海岸までは徒歩で15分ほどかかる距離だ。まだ外は明るかったので、夕食前に散歩に出てみた。バルト海は海なのに、全然塩臭くない。対岸や水平線がきれいに見えたが、風が強く、雨が降ってきたので早々に引き上げた。


帰り道にスーパーマーケットを発見! 無類のスーパーマーケット好きである私と妹は、ここで夕食を買うことにした。正確には、スーパーマーケットほど大きくなく、ちょっとした食料品店といったところ。店は、ホテルの横に建つ超マンモス団地の半地下にあって、普段は団地の住人しか来ないのだろう。風変わりな外国人が入ってきたので、店員さんがいぶかしげな顔をして見ている。


品物はとにかく安い。ホテルだと1.5リットルの水が3ドル、ここなら15ルーブルだ。(1ルーブル=約4円)30センチ×10センチほどのパンも約8ルーブル。買い物カゴを手に、真剣に品物を物色した。


買うものを決めた後で、私たちは悩んだ。

「夕食にパンだけだと寂しい。何かおかずが欲しい。」

バナナやチーズは自分で取れるのだが、ハムはガラスケースの中に入っていて、店員さんにお願いしないと買うことができない。(もちろんスライスもされていない)我慢するか? でも、やっぱパンにハムはさんで食べたい! う〜、どうしよう・・・。


勇気を振り絞ってハムを買う決意をした。しかしロシア語はさっぱり分からないので筆談でチャレンジする。値段はキロ単位のみ。まずはグラム売りが可能かどうかを確かめる。


“300г”(г=キリル文字。英語のgに相当)と書いた紙を店員のおばさんに見せると、身振りでOKのサイン。第一段階はクリア! 次はどのハムにするかだが、種類が多すぎてよく分からない。おばさんは、ロシア語でベラベラと話し掛けてくるが全く理解できない。妹が試しに「キャンユー スピーク イングリッシュ?」と聞いてみるが、即座に「ノー!」と言われてしまった。
おばさんは、ハムの白い部分、つまり脂身を指して何か言い、脂身の無いハムを指差してまた何か言った。

「もしかして脂身がない方にしろって言ってるのかな?」

とりあえず、妹が持っていた和露辞典で“あぶら”を調べる。その項目を見せるとうなずいたので、ほぼ私たちが想像したとおり。


そして最後の難関は薄く切ってもらうことだ。塊のままかじりついてもいいのだが、やっぱり切って欲しい。また辞書を見せようかと思っていたら、おばさんがカツオブシを削るようなジェスチャーをしたので、私たちも何度もうなずきながら同じジェスチャーをした。はたから見たらとても滑稽な場面であったろうが、私たちは真剣そのもの。


おばさんは、訳の分からない私たちに根気強く付き合ってくれた。途中で無視されたとしても不思議ではない。レジのお姉さんは無愛想だったが、ロシア人が不親切だという説は、私の中では完全に消え去ったのであった。


ハムを買えた満足感にひたりきってお店を出ると、雨も上がり大きな二重の虹が出ていた。こんなにスケールの大きな虹は見たのは初めてだ。興奮状態の私たちはスーパーで買った戦利品を手に、写真を撮りまくったのである。





二重の虹(見えるかな?)











部屋に帰って食べたハムの味は一生忘れないだろう。


(次ページは「サンクトペテルブルク市内観光編」です。どうぞ、お楽しみを・・・。)