no.4




4日目(7/15)

今日は大草原の真っ只中まで遠征だ。その前に市内にあるガンダン寺に向かった。モンゴルにおけるチベット仏教の本山に当たる寺で、生涯に一度は参拝を望む人が多い。市の北西に位置する場にあり、思いの他、シンプルな建物だった。広大な敷地にいろんな建物が散らばっている。いそいそと立ち働く少年僧たちの姿もあちこちに見える。一張羅のモンゴル服を着た老人も感慨深そうに寺を歩いている。寺の横に回るとカラフルな仏様やチョルテンがしつらえてある。






ガンダン寺
デール(モンゴル服)の人もよく見かける













ガンダン寺
ラマ教の神様









房に入ると 僧たちの朝食時間。バター茶のみが置かれていた。辺りは乳臭い。映画「セブンイヤーズ in チベット」を思い出す。ブラピはバター茶がニガ手な役だったな…。裏手には、一斗缶を改造して作られたかのような見事に古いマニ車が並んでいた。オム・マニ・ペメ・フム・・・と回した。


街から10分も走れば、もう立派な大草原になってしまう。西へ西へ! 一本続く道をひたすらバスは進む。簡易舗装の道だが、冬場に凍結し、水分が凍ると舗装が割れてしまうそうだ。毎年直す資金もなく、そのままになっていて、デコボコの路面はスピードによってポンポン跳ねる。シーナ氏もこの国を何度も走っているが、まるで洗濯機の中のパンツ状態だと書いている。(笑)


トイレはもちろん青空トイレだ。2時間おきにバスを停めて男女別に左右に別れる。こんなリッチなトイレは無い! お陰でヤミツキになり、のちにトイレがあっても外で用を足したりしたものだ。






バスを止めて青空トイレ

牛や羊がどんどんやって来る。人は全くいない。













この道一本しかない










この旅の前、宮本輝氏の「草原の椅子」が出版され、帯コピーに 「途轍もなく大きなもののなかに立ってみたい・・・」それはタクラマカン砂漠だったが、このモンゴル大草原も同じことが言えるのでは、と思った。疲弊した人間関係を見直したいと言った小説だった。また、私がモンゴル行きをある友人に話すと、「知人で・・・あの中に立ったら人生観が変わり、出世を望まなくなった人がいる」と 言われた。


バスのドアが開く瞬間、フワァ〜とハーブ系の香りがする。この草原に生えている草は乾燥に強いハーブなのだった。時々、小花が咲いていたり、ヨモギの原だったり、場所により微妙に違う植物で覆われている。放牧による牛や羊の糞も一面に落ちているが乾燥していて全く汚くない。小さなバッタがピョンピョンと跳ねる。思いっきり深呼吸してみても、あまりの広さに自分が小人になったみたいだ。


行程に1箇所だけ見たガソリンスタンド、寄ったが停電で入れられないと言う。3キロほど戻ればあるからとポリタンク持参でバイクで取りに行ってくれた。奥さんも子供もつまり3人乗りでパタパタ出掛けて行った。持って来たガソリンをポリタンクから古いホースで落差を利用して手を濡らしながら入れてくれた。






草原のカソリンスタンド
行程には1つだけしかなかった








やれやれもつかの間…添乗員が言った。
「明日、もしかするとホテルを出されるかも…です。」
「??!!」 
「今日、中国の江沢民首相が来て2泊するので、明日私たちの部屋の確保が難しいのです」
「先日の小渕総理の時も、部屋を出された人がいたわけで…」 う〜〜ん・・・。


ここで我々が悩んでもしょうがないのだが、そんな不安を乗せつつ、さらに西に進む。夕方、カラコルムのエルデニゾー修道院の着いた。13世紀モンゴルの首都だった場所で、108個の仏舎利塔がグルリと円を描くように繋げて並んでいる。また北に少し歩くと「亀石」がある。亀は昔、龍の子と言われ尊ばれたそうだ。絹のカタが掛けられていた。






エルデニゾー仏舎利















 亀 石










さあ、今夜泊まるゲルはもう近いはずだ。しかし、360度見渡せるこの場に表示が全くない。果たして…運転手が迷ってしまった。 いったいナニを目安に進んだらいいのか、どう見てもフシギだ。また、近くに見えていてもなかなか進めないこともある。雨季に出来た川の溝が深く、同じ緑なので2〜3mまで行って分かるのだ。その場合、果てしなく迂回をしないと進めない。方向なんぞ分散してしまう。


幾度となく迷っているうちに夕日が沈んだ。また地平線に入る壮大な瞬間だ。なんと日の入りは9:00。暗くなる一方で道には迷うし、添乗員も青くなっていた。 ゲルやぁ〜〜〜い! で、辿りついたのが10:00だった。


ツーリスト用のゲルがたくさん張ってある場所で、欧米からの白人客も多い。ゲルは現地住民のものと同じ大きさと作りになっている。中は花柄の布で覆ってあり、周りに沿って4つのベッドが置かれている。真中には薪ストーブ、横には長方形のテーブル。






 ゲル
左が私の泊まったゲル









向こうにレストランゲルが設けられていて、そこで全員で食事となる。食事は、ジュース、紅茶、パン、ポテトサラダのような物、クッキー、チーズ各種など。私は大抵の場の食事は何でも食べるが、ここで出たカマボコ型の白っぽいチーズは、一口でちょっと…だった。一言で言えば、ケモノ臭いと言った感じで、モンゴルの方たち、スミマセン。


少し遠かったが トイレ用の建物もあった。が! 昼間すっかり青空で開放感を知ってしまった面々は…そこには行かなかったのである。(笑) はじめ曇りだった空は夜半に晴れて。ゲルの外は驚くばかりの星だった。一つの星が大きくクッキリしていて、おまけに地平線から星である。キレイを通り越して、うっとうしい程の星屑に唖然。少し寒いので地元の人がストーブに火を入れてくれた。ゲルでの一夜・・・遠くで犬が吠え、もっと遠くで稲光がかすかに見えた。