<6日目 10月12日> 


う。ううーん。眠い。眠いったら眠い。どーしよーもなく眠い。眠すぎる。 わーーーっ!!(←吠)  だってだって、3時だよ? まだ。こんなに眠いなら、起きてれば良かった(?!)。こんなに早く起きるなんて、普段の私からは考えられない。友人Mの目もショボショボ。


今日はスーダンとの国境近くにある<アブシンベル>という町へ行く日。なんでこんなに早く起きなきゃいけないかと言えば、もんのすごく暑いんです。アブシンベルは。それはもうシャレにならないくらいに。だから早朝に出発しないと、暑さで倒れるんです。いや本当に。


着替えをして、昨晩用意した荷物を持ってロビーへ降りると、タクシーはまだ来てませんでした。旅行会社のお兄さまが寄ってきて、ランチボックスを手渡してくれました。朝ごはんだ〜。中身は何だろな〜。わーい♪(←相変わらずエサに弱い私たち)


外はまだ真っ暗。昼間はあんなに暑いアスワンも、なんとなく空気がヒンヤリしています。まだ夜なのよね。


客室から、一人の日本人女性が降りてきました。私たちと一緒にアブシンベルツアーに参加するRさんです。Rさんは大阪出身。なんと一人旅で、エジプトとトルコを巡る旅行の途中とのことでした。頼もしい道連れができたところで、タクシーの運転手が到着。おヒゲとガラベーヤがよく似合うオジサマ。あ。もしかして、オジサマじゃなかったのかも。こっちの人って、高校生でもヒゲ蓄えてたりするしな〜。


3人でタクシーに乗り込み、暑〜い暑〜い<アブシンベル>へ、しゅっぱ〜つ!


アスワンの町からひたすら南下。ただただ南下。<アブシンベル>は、アスワンから280キロも南にあり、ほとんどスーダンとの国境ギリギリ。飛行機なら40分の道のりですが、車なら、壮大な砂漠を眺めながらの旅が満喫できます。というか、途中には砂漠と<ナセル湖>しかありません。だから、例えイヤでも、砂漠と(砂ぼこりと)オトモダチになれます(笑)。


タクシーの中では、3人ともボーっとした顔つき。頭と体が逆行動。うーん。昨日の夜素直にとっとと寝とけば良かった・・・。


町の中心部を抜け砂漠へ突入。全開の窓から入ってくる風が気持ち良い。しばらく走り続けると、空がうっすらと明るくなってきました。お。もうすぐ夜明け? 砂漠の朝日なんて初めてだあ♪ わくわくわく・・・。
・・・とその時。
友人M「あ! ほら! 見て〜♪」                        
私  「ん? あ! おおお〜!!」


進行方向左側に、まばゆいオレンジ色の光。砂漠の夜明けです。


私たち「(はあああああ〜・・・きれい・・・)」





アブシンベルへ向かう途中で見た朝焼け。












こんなきれいな夜明けは見たことがありませんでした。様々に変化し、渦巻いていく光の帯は、神秘的ですらありました。



私  「写真!写真撮ろうよ!」


運転手のオジサマにお願いして車を停めてもらい、外に出ました。
360度、見渡す限り何も無い。こんな景色を、北海道のサロベツ原野でも見たことがありますが、サロベツと違うのは、ホントに砂だけの世界だということ。何キロ先まで続くのか。その砂の海に広がるオレンジ色の太陽の光。もう、言葉にならないほどの美しさに、ただ呆然と立ち尽くしてしまいました。


さらにすごかったのは、この無音の世界。風の音すら聞こえない、本当の無音の世界。私たちが何かしゃべっても、ほんとに声が相手に伝わってるのか心配になるほど、他に何も聞こえない。こんな世界があったんだ。


ハッ! 我にかえった私たち。なんとか写真を撮り、車に戻りました。


運転手さんは、毎日こんな景色を見て、何年も過ごしてきたんだ・・・。心底羨ましい・・・。

再びしばらく走ったころ、運転手のオジサマは突然こう言いました。


オジサマ「ちょっと車を停めていいかい?」
私たち 「は、はあ・・・(な、なんだ?)」


車を停めたオジサマ、私たちを置いて、砂漠の方へ走っていきました。何するんだろうと思ったら、いきなり敷物をしいて、お祈りをし始めました。そうか、そういう時間だったのね。


こんな、砂しか無い所で、よくメッカの方角がわかるなあ。朝日を基準にしてるのかなあ。それにしても、客がいようがいまいが、お構い無しなのね(笑)。もうすでにそれが当たり前のように感じられ始めてる自分が不思議。だんだんエジプト時間に慣れてきたのかも。


オジサマ、ようやく戻って来て、まるで何ごともなかったかのようにまた車を走らせました。空もだいぶ明るくなってきたし、そろそろお弁当でも食べよっかな。あ、でもオジサマの分は・・・?


オジサマ「朝メシかい? 俺はいいから、気にせず食べてくれよ。」
私たち 「そ、そ〜お? んじゃ、遠慮なく・・・。」


ホテルでもらったお弁当の中身は、パンにジャム、ハムやチーズ、クラッカー、果物なんかが入ってました。早速パンを割ってハムとチーズを挟み、サンドイッチにして食べ始めました。なかなかオイシイじゃ〜ん♪


朝っぱらからなかなかの食べっぷり。お弁当は底なしの胃袋にすっかり収まり、大満足。お腹いっぱ〜い。すっからかんになった空き箱をヒザの上にのっけていたら、運転手のオジサマ、突然箱をムンズと掴み、窓の外へポーンと放り投げました。


私   「わ! ちょ、ちょっと! いいの? そんなことしちゃって!」
オジサマ「大丈夫。土から産まれた物は、土に帰って行くんだよ。」   
私   「・・・・・・・。」
                                          
そう言って平然としているオジサマ。なんか、私ってチッチャイなあと感じる瞬間。普段からどれだけつまらないことを気にして生活していることか・・・。エジプシャンスピリッツって、これか。


でも、ゴミを投げ捨てるのは、良くないよねえ(笑)。


すっかり明るくなった窓の外を眺めると、砂しかないと思っていた砂漠に、石っころや岩があるのに気がつきました。結構ごつごつした石がそこら中にちらばっています。途中、ちっちゃなちっちゃなオアシスらしき所を通ったら、野犬が数頭。野良犬にしちゃヤケに毛並みのいい、りっぱな犬達が寝そべっていました。







砂漠に横たわる野犬たち。

















<アブシンベル>は、まだまだ先なのか、どこまでもどこまでも砂漠の一本道。・・・と、突然運転手のオジサマが再び車を停めました。

                                          
オジサマ「キャメル、キャメル!」
私たち 「え? 何? ラクダ? 何もいないじゃん。」
                  

私たちには何も見えないし、何も聞こえないんだけど、ラクダがいるの? どこに?


オジサマ「キャラバンが来る! 奴らはスーダンからラクダをカイロの市場へ売りに行くんだ。」
私たち 「え? スーダン??」


しばらくすると、遠くの方から何やらザワザワ聞こえてきました。音のする方角をじっと見ていると、なんとラクダの大軍がこちらに押し寄せてくるではありませんか!


私たち 「わーーーっ! なんじゃあこりゃあ!(絶句)」


一体何百頭いるのよ? 数えられない〜! あれよあれよという間に、道路わきはラクダの大軍に埋め尽くされてしまいました。

  スーダンから来たラクダの大群。すごい数!

キャラバン隊の人たちは、明らかに運転手のオジサマとは顔つきが違う、スーダン人。ほぼ全員が、真っ白なガラベーヤを身にまとい、頭には真っ白なターバンを巻いていました。全身白づくめ。


写真一緒に撮ってくれないかな〜。頼んでみよう。


私たち  「あのー。写真一緒に写ってくれませんか?」
キャラバン「ベン!ベン!」
私たち  「(ここでもボールペンかい!)まかしとき♪」
                                            
こんなこともあろうかと、今回はあらかじめ大量にボールペンをカバンに突っ込んできました。砂漠でキャラバンに会うなんて偶然は、私にとってはもう無いかもしれない偶然なので、ボールペンで写真に収まってくれるなら安いもんです。


みんな、笑顔がとってもさわやかで素敵。ボールペンをあげたらニコニコして写真に写ってくれました。





カッコいいスーダン人















ラクダに乗ったまま近づいて来てくれたオジサマ。














白い布を巻いていないオジサマは運転手さん。
みんなにこやか。










写真を撮り終えると、握手をしてサヨナラ。何百頭ものラクダの大軍は、道路をゆっくり横断して去って行きました。今でも写真を見ると、ザワザワという音が聞こえてくるようです。






ラクダの大移動













この時の写真、とっても良く撮れてると思うんだけどなあ。見て見て〜♪(←ちょいと自慢げ)。



あ〜凄かった。こんな体験はそうそうできるもんじゃないですよね。良かった〜、飛行機にしなくて。やっぱり陸路でないと体験できないことってたくさんあります。飛行機は、確かに楽だし安全かもしれないけど、時間をかけてでもアスワン〜アブシンベル間はバスやタクシーをお薦めします。いろんなことが起こって、それはそれは楽しい移動ができますよ(笑)。でも、全く何にも起こらないこともあるみたいなので、運ですね。もう。もっとも、飛行機からのナセル湖の眺めも、それはそれは素晴らしいみたいなので、そちらも体験してみたいのですが・・・。


さて、出発から約3時間半、ようやく今日の目的地<アブシンベル>へたどりつきました。最初に私たちの目に入ったのは、壮大なナセル湖の眺め。湖面が太陽に当たってキラキラ輝いていました。きれい・・・。





美しいナセル湖

広くて海みたい!












入場券を受け取り5分程歩くと、そこにはドドーーーンとデッカイ<アブシンベル大神殿>。

でかいでかい、ほんとにデカイ! この神殿は、<アスワンハイダム>建設時に水没の危機にさらされ、ユネスコが大々的なキャンペーンを行って、移築されたものだそうです。こんなデッカイもの、移築するって凄い! 写真に写っている人間の大きさと比べてみて下さい。その巨大さ加減がおわかりになると思います。





アブシンベル大神殿

まさに、どど〜ん。












その近くには、<アブシンベル小神殿>も。「小」なのにこのデカさ(笑)。






アブシンベル小神殿

小なのにデカい。












ガイドに5ポンドを支払い、お願いすることに。とにかく中へ入ってみよう。なんだかひんやりした空気。壁中にヒエログリフやら、レリーフやら。立像も何体かあるけど、ん? どれも同じような顔?



前室には、ラムセス2世王妃の<ネフェルタリ>のレリーフもありました。


それにしても、こんなものを作ろうと考えて、ほんとに作っちゃう<ラムセス2世>って一体どんな人だったんだろう? しかもこんな大きい(40万トン!!)自分の像を作らせちゃうなんて・・・。もしや、ナルシスト?(笑)


さて、じっくり1時間半ほど神殿を見学し、もう一度ナセル湖へ。考えてみたら、来る時ずっと砂しか見てなくて、ずっと茶色の世界で、この湖にたどり着いた時は、水ってなんて青いんだろう、なんて澄んでいるんだろうって思ったんです。なんだかずっと湖を眺めていたい気分だなあ。


時刻はまだ9時過ぎ。なのに、だんだんとものすごく暑くなってきました。朝早く出発しなきゃならないのはこれか!!! 早々に出発を決意。


帰りにアスワンのパピルス屋さんに寄ってもらいました。パピルスなんて、カイロでも山程買ったのに、お店を見つけると、ついつい入ってみたくなります。そのパピルス屋で、私たちはある発見をしました。


エジプト3日目(10/9)の旅行記にも書きましたが、3日目に入った<ナイルパピルスセンター>で、私は黄金の肌の<ネフェルティティ王妃>のパピルスを購入しました。そこで見た<ネフェルティティ>のパピルスの顔は、どれもどこかヨーロッパ的な顔というか、アラブ人顔というか、鼻筋がスッと通っていて、肌も褐色だけど、明るい肌色で、唇もキリっとしている美人顔でした。ところが、アスワンのパピルス屋さんで売られている<ネフェルティティ>の顔は、顔がとにかく黒くて、鼻がちょっぴりペチャッとしてて、唇も分厚くて、エジプト南部のヌビア人顔。どれもみんなそうです。美人に変わりはないんだけど。(絵葉書参照)



私  「なんで、同じ人物なのに、売られてる場所で顔がこんなに違うんだろう?」



話を聞いてみると、<ネフェルティティ>の出身には諸説があって、南部の人々はヌビアンであると信じて疑わず、北部の人々は絶対に北部出身と思っているので、パピルスの顔にもそれがモロに表れているそうです。


話を聞いて、家に帰って2枚並べてみたくなった私は、迷わず南部顔<ネフェルティティ>を購入。友人Mも何枚か購入し、折れ曲がらないように厚紙でできたケースに入れてもらいました。


この2種類の<ネフェルティティ>は、今でも大事にとってあります。額縁が足りなくて飾れないので、ケースに入れたまんま。でも5年半もたったのに、全く色褪せることなく、当時のままの色合いをキープしています。すごい技術なんだなあ。やっぱり。


ホテルへ戻って来た頃には、もうお昼を過ぎていました。なんか、身体全体がホコリっぽい。靴もホコリだらけになってるし。また洗濯かあ。ふう〜。この時のお昼御飯は、何をどこで食べたか覚えてないのですが、朝から目一杯行動したので、戻って来てすぐ、疲れて休んだ記憶があります。


お昼寝から目覚めた私たち、あんなにグッタリしてたのに、すっかり復活。やっぱり昼寝は大切だわ♪


私  「ねー。プール行こうよ。泳ごーよ〜。」
友人M「おおう!!」


私たちは隣の<オールドカタラクトホテル>にあるプールへ向かいました。ほほほ。空いてる〜♪


ひときわ高いヤシの木の下に場所を確保すると、ホテルのオニイサマがサマーベッド用のマットレスを持って来てくれました。それにしても暑いなあ。日焼け止め塗らないと、黒焦げだわ。きっと。いや、すでに黒焦げなんだけど。っていうか、今朝鏡見た時に思ったけど、なんか、小汚くなってる。私の顔。なんで???


ひたすら暑い中でひと泳ぎ。う〜ん、シアワセ♪ やっぱ、アスワンだけでも贅沢して良かった。これでもかってくらい泳ぎまくった私たち。何しにきたんだろ(笑)。


町のどこかで夕食を済ませ(あまりにもあちこちでいろんなものを飲み食いしてたので、意外と食に関する記憶が途絶えてたりするんです。スミマセン)友人Mが提案。


友人M「ねえ、オールドカタラクトの中覗きに行こうよ!」
私  「おお〜、いいねえ♪」


この友人Mとは、この時すでに、およそ15年近い付き合いになっていたのですが、いまだ意見の不一致で喧嘩というものをしたことがありません。この旅行でも、女2人だってのに一度もモメることなく旅を続けられました。めずらしいねえ〜とよく言われます(笑)。


オールドカタラクトの館内に足を踏み入れると、そこはまるでヨーロッパのお城でした。高〜い天井に、シンプルながらも豪華なロビー。廊下なんて、歩いてるだけでお姫様気分。リッチだなあ。なんか、自分が着てる1000円前後のワンピースが、普段よりさらにみすぼらしく感じる。だって、泊まってる人たちもみんな上品そうな奥様とか金持ち風の紳士とか、石油王っぽい人とかばっかりだし。はあ〜(←溜め息)誰も1000円のワンピースなんて着てなさそうだよ・・・って、当たり前だけど(笑)。


ふとロビーの端に目をやると、何やら丸い物体が。ん? なんだろ、これ。よく見ると、下の方に「MAIL」の文字が。(写真11)
                                        
私  「これ、ポストだあ!」







地球儀みたいだけど、ポストなんです。これ。


















全然ポストに見えないんだけど、なんだかとってもおしゃれでカワイイ! ついつい手紙なんかを書いて投函したくなっちゃうような。いいなあ、これ。持って帰りた〜い。どうやって(笑)



い〜なあ。ここ。次に来る時は、たとえ1泊でも絶対泊まろうと固〜〜く固〜〜く心に誓いました。


明日は駆け足であちこち見てまわる観光日。今日は早めに寝なきゃ。何せ3時起きの上にプールまで入ったんだもんね。部屋に帰った途端に疲労もピークへ。もう意識不明の一歩手前。どれだけ疲れてたかっていうと、この日だけ、お小遣い帳が2行で終わってるんです。そんなハズはないのに(笑)。


う。なんか、日焼けが痛い。こりゃ今日は水シャワーかなあ。這うようにしてシャワーを浴びにいき、半分寝た状態でなんとかお小遣い帳をつけました。


日焼け用お手入れジェルの、クールな香りに包まれながら、おやすみなさい・・・・。


(次ページは「アスワン観光編」です。どうぞ、お楽しみを・・・・。)