長崎のクリスマス
(2007年12月24日)




2007年12月24日はクリスマス・イブ。カトリック信者の多い長崎のイブの様子をふいと思い立って探索に出かけました。目指すは国宝・大浦天主堂。チンチン電車を降りて天主堂へ通じる坂道を上って行く。街灯もないこの通りは暗く、両側に並ぶ土産品店もシャッターを下ろしてひっそりとしています。


ところが、数年前から始まったというキャンドルライトの小さなグラス点灯が道の両側の地面に幾つも並べられ、そのほのかな灯りが揺らめいてクリスマスムードをただよわせています。名づけてキャンドルロードと言うそうですが、生憎とこの夜は風が強くて吹き消されているキャンドルもあり、それに再点火する世話役も大変そうです。撮影するにも灯が小さくてちょっと無理かなとあきらめました。


この可愛いキャンドルロードを上りあがると、その正面に国宝・大浦天主堂の姿が弱いライトに照らされて夜空に浮かびあがるのが見えます。その見上げる荘厳な姿は、昼間より夜のライトアップで見るほうが断然趣があるようです。今夜は教会のイルミネーションを期待して行ったのですが、門の右手に地味なクリスマツリーのデコレーションがあるのみでがっかりです。今夜はここでミサがあるはずですが、まだ門はかたく閉ざされたままです。周囲には人気もほとんどありません。


 淡いライトにほのかに浮かび上がる国宝・大浦天主堂。


ふと、門の横を見ると、立て看板に
「生誕際夜半ミサ」
午後9時より
開門:午後8時

と書いてあります。


時計を見ると、開門までにまだ40分も間があります。仕方なく、付近のグラバー園界隈を散策しながら港の見える高台に出てみます。風が少々あるので長崎港の海面も少しざわめいているようです。そんな中、港口にはブルーにライトアップされた女神大橋が静かに横たわっています。でも、ここからの眺めは長崎の夜景にしては寂しいかぎりです。位置が悪いせいか、中心街や斜面に広がる家々の灯りが見えないのです。


仕方なく天主堂の方へ戻り、近くでわずかに開いている数軒の土産品店を物色します。骨董品店、小物品店、宝石店などをのぞき見しながら時間をつぶします。地元の人間には無用のお土産品ばかりで手の出しようがありません。


こうして時間をやり過ごし、天主堂の前に戻ってみると、すでに40〜50人の人々が開門を待って並んでいます。そこで私も一緒に並んで待つことにします。10分ほど待ってやっと開門。急ぎ足で階段を上りつめ、堂内に入ります。何十年ぶりかに入るのですが、土足でそのまま入れるので助かります。


堂内は思ったより広くありません。ヨーロッパの大聖堂のように、奥行きも横幅もそんなになく、こぢんまりとした感じです。見上げる天井は帆を幾つも張り合わせたようなゴシック調の造りになっており、それらが140年の歴史の重みを物語っているようです。中央祭壇にはまだ蝋燭の灯が灯されていません。


堂内の左横手には模型で作られたキリスト誕生の様子がしつらえてあります。籠の中には赤子の姿はなく、空っぽになっていますが、今夜のミサで使われるのでしょうか?

(堂内での写真撮影は厳禁となっているので、その様子をお見せできないのが残念です。)

9時のミサ開始まで、かなりの時間があるので、ここで失礼して他を周ってみようと腰を上げかかると突然、頭上から荘厳なミサの合唱が聞こえてきます。おや? 録音テープでも流しているのだろうか?とよく耳を傾けていると、どうもそうではなさそうです。立ち上がって後ろの階上を振り向いて見上げると、なんとそこには聖歌隊が並んで賛美歌を合唱しているではありませんか! 

♪諸人(もろびと)こぞりて 
 迎えまつれ 久しく待ちにし 
 主は来ませり 主は来ませり 
 主は、主は来ませり  ♪

有名な賛美歌が、その素晴らしいハーモニーにのって流れてきます。よく訓練された素敵な合唱に、うっとりしながら聞きほれてしまいました。こうして次々に有名な賛美歌が歌われるので、腰を上げる気になりません。でも、先があるので4曲を聴いたところで中座し、後ろ髪を引かれる思いで天主堂を後にしました。


次のお目当ては「出島ワーフ」です。
岸壁前に出てみると、人気は少なく、数隻のボートにイルミネーションがひっそりと輝いているのみです。今年はそのイルミネーションコンテストがあったらしく、ブルーのマストの電飾が1位になったそうです。思ったより派手ではありませんが、岸壁のツリー電飾とあいまって、まあまあのクリスマスイルミネーションの雰囲気がただよっていました。ここからの眺めは対岸の町並みの灯りも見えて、少しは見栄えのする夜景になっています。


 出島ワーフの岸壁のツリー電飾。前の海面に浮かぶボートの電飾が映える。



出島ワーフより眺めた港の風景。中央正面のブルーのマストのイルミネーションがコンテストで1位になったとか。


次は駅前広場へ移動します。
ここには高さ11mのツリー電飾が立っているのですが、それを陸橋の上から見下ろしてみると、ちっぽけに見えて少しも華やかさが感じられません。これとは反対方向のホテルの壁面に設けられた電飾が意外と大きくて雰囲気を出していました。


 長崎駅前のクリスマスツリー。高さ11mの電飾だが、ここからは小さく見える。



 長崎駅前のホテルの壁面に飾られたイルミネーション


今夜、イヴの夜に急に思い立ってクリスマスイルミネーションの探索に出かけましたが、思ったほどの電飾は見られず、やや期待はずれに終わりました。キリシタンの町・長崎のクリスマスは、とても静かで穏やかな時が流れていました。   (完)
                              
                                  (07年12月25日記)